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世界の二酸化炭素(CO2)排出量の約8%を占めるセメント・コンクリート産業において、都市の「建造物解体廃材」を二酸化炭素の恒久的な貯蔵庫へと変貌させる循環型イノベーションが注目を集めています。2019年設立、スイス・ベルンに本社を構えるノイシュターク(Neustark AG)は、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)の研究から誕生し、解体コンクリート骨材へのCO2永久鉱物固定化を商業化した先駆者とされます。

同社の核心をなすのは、バイオガスプラント等から回収されたCO2を、解体・破砕された再生コンクリート骨材の細孔内に高濃度で吹き込み、内部のカルシウム成分と反応させて安定な炭酸カルシウム(CaCO3)へと化学変換する技術です。このプロセスにより、CO2は10万年以上にわたり人工鉱物として恒久固定されるだけでなく、骨材自体の強度を高める効果も生むそうです。従来の地留・地中貯留法とは異なり、既存の建材リサイクル・流通インフラをそのまま活用するため、追加の巨大エネルギーや複雑な輸送を必要としない強みを持つようです。製品1トンあたりの固定量は第三者機関により厳格に検証され、炭素除去クレジットとして市場へ提供されているとのことです。

同社は短期的な投機資本と一線を画し、シンガポール政府系Temasekや欧州インフラファンドのWorld Fund、スウェーデン・Vattenfallなどの長期投資家から累計約5,000万ドルを獲得しているとされます。セメント大手ホルシム(Holcim)や各地の生コン・再資源化事業者と提携し、スイス、ドイツ、フランスなど欧州全域で19基以上の商業プラントを連続稼働させているとのことです。マイクロソフトやUBSといったグローバル企業と長期購入契約を結び、2030年までに累計100万トンのCO2固定を目指しているようです。

【今後の焦点・課題】

今後の社会実装における最大の焦点は、欧州から北米・アジアへとモジュール型固定設備の展開を加速させ、各国の建設廃材規格との整合性を確保することとされます。既存の都市インフラ解体・再資源化の現場にCO2固定プロセスを自然に組み込み、建設業界全体を「二酸化炭素の巨大な貯蔵庫」へと移行させていけるかが、長期的なスケールアップの鍵を握ると見られています。

都市の破壊から生じる廃棄物を地球の治癒装置へと昇華させ、持続可能な建築と脱炭素を両立させようとする同社の挑戦と益々の活躍を期待します。(AS)

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