<aside> 💡 浮世絵版画の世界

日本の印刷技術の原点となっているといわれる浮世絵版画ですが、安政年間から続いている江戸木版画を手掛けている工房があります。株式会社高橋工房(創業:安政年間1856年~1860年、本社:東京、以下同社)が手掛ける江戸木版画は、江戸時代から続く技法をそのまま生かしつつ葛飾北斎など当時人気を博した浮世絵の復刻版画のみならず顧客の要望に応えて現代版浮世絵木版画の提供も行う版元です。  浮世絵版画が出来るまでのプロセスを、少々乱暴ですが、簡単に言い表してみましょう。先ず、版元の統括の下、絵師、彫師、摺師が揃って初めて作品が出来上がります。版元を今風に言えば出版総合企画会社、版元の指示に基づき絵師が原画(版下絵)を制作、その原画を彫師が版木に彫り、それを摺師が色付けをしながら和紙に転写していく作業で版画が完成します。そして浮世絵版画作りに絶対欠かせない版板、和紙、絵の具などの材料調達先との密接な関係維持も版元の仕事であることを忘れてはなりません。160年,余り前、創業時の同社は、摺師であったそうですが今は版元と摺師の仕事を兼ねているそうです。  現代では、何事もIT抜きに語れなくなりつつあり、絵画も高精細のディジタル画像を壁にかけて楽しむこともできます。浮世絵も例外ではなく、最近ではNTT東日本もNTT Art Technologyを設立、伝統美術を高精細なディジタル画像をオンラインで提供するサービスを行っていますね。ディジタル化された映像は経時変化による品質劣化が無く又オンラインで多くの人々が鑑賞できます。しかし、実際の和紙に刷り込まれた浮世絵版画は和紙の裏にも染み入る趣や見る角度による微妙な変化などを含む本物の味わいがあり、現時点ではディジタル画像が敵うものではないと思います。  もう一つ、重要なことは長年にわたり同社が継承している伝統的な作法(さくほう)は、正にものづくりの原点。つまり、版元、絵師,彫師、摺師の連携は、互いの作業を十二分に分かっていないと精緻な逸品はできません。自分の作業の前と後の作業工程を念頭に置くこと、言い換えると自分の作業を終える時に、次の工程の人が直ぐ取り掛かれるように十分配慮した自分の作業物を、次の工程に渡していくことが肝要です。このことはモノづくりの要諦であり日本のものづくり品質が高く評価されてきた原点でもあります。少しくどい言い回しになりました。 既に世界的に認知され高い評価を得ている浮世絵版画ですが、江戸木版画を通じて柔らかで趣があり人の心を癒してくれる浮世絵版画を、世界の隅々まで広めて頂きたいと思います。同社の益々のご活躍を祈ります。(AS)

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高橋工房

【Interview】伝統的工芸品 江戸木版画 木版画工芸協同組合 理事長 高橋由貴子 /Traditional crafts Edo Mokuhanga ,Ms. Yukiko Takahashi

江戸東京リシンク展|江戸木版画 高橋工房

職人をまとめ、尊重して魅力的な江戸木版画を生み出す|輝く企業の現場から|東京都中小企業振興公社

江戸文化を受け継ぎ、現代風に活かし、未来につなぐ